味気なき音の鳴る也
紅梅 近所に新築中の家にようやく壁の下地が貼られ、数日前まで辛うじて骨組みの隙間から覗き見えた景色はもうすっかり見えなくなりました。この先ずっと、あの壁しか見えなくなるんだよなぁ。
 そんなじとっとした気持ちで聞いているからばかりじゃ無かろうけど、大工を筆頭に職人の立てる音が耳障りで仕方ない。作業のある日は憂鬱です。

 プレカットで搬入した材木をポッカンパッカンと嵌める玄能チックな音や、バスっ・・・ボスっ・・・とリズムもへったくれも無く打ち出されるネイルガンの音、それに加えてキ〜ン、ギュ〜ンと頭に響く電動工具の音><。愛想も小想も無い。

 子どもの頃、近所に普請があると知れば、ウキウキしながら見学に行ったものです。大工さんが口から1本ずつ取り出す釘をトンットトト、トンっとリズムよろしく打つ音、シュルルル〜っと小気味良い鉋の音、鋸もジーコジコと調子を合わせて鳴る中に、切りたての材木の香りが辺りを満たし、一日見ていても飽きませんでした。

 懐かしいなぁ。まぁね、効率第一に考えて、イマドキ家庭でも電動工具を使う時代だから、自分の考えが時代錯誤だってことなんだろうけどさ。
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