2013,02,07, Thursday
日曜日に図書館で借りた本のうち、明治、大正、昭和と生きた著者の本にドップリ浸っています。
その方が晩年に著した所謂回顧録というのでなしに、最初に書かれたのは大正時代、著者が現役バリバリの新聞記者だった頃。再刷されたのは昭和ですが、中身は明治・大正時代そのままの、生で見たことが生で書かれている、リアルタイムの内容です。 現在では使われない漢字だの、摩訶不思議な当て字だのが多用されていて、浅学な自分では辞書無しには意味不明な部分も多々あるけれど、後年捩じ曲げられた歴史を当時の人がどう感じていたかが細やかに書かれていたり、当時の風俗や習慣の緻密な描写だったり。生きている歴史を今の自分が胸ときめかせて読ませて貰っている感覚。 大正時代の描写部分では、幼い祖父や祖母がそこらにちらっと顔を出しているような気さえして。今よりずっと不便で苦しいその時代が良かったとはとても言えないけれど、もしや人の心だけは、現代人が失った何かがあったような気がします。 少し前に鬼籍に入った明治生まれの知人が、丁度この時代を生きた人だったのだなぁ、そう言えば同じような、しゃんとした部分を持っていた方だったなぁ、と、時折ふぃっと彼の人の顔が過ぎって、なんだか温かく懐かしい時間を得ました。 明治大正見聞史 生方敏郎 |