2012,12,19, Wednesday
図書館で日曜日に借りてきた本の中に、読んでホッとする1冊がありました。随筆・エッセイが置かれた棚にずっと前からあって、何度も背表紙を見ていたのについぞ手に取った事も無かったこの本、「本のお口よごしですが」というタイトルです。
自己中で毒を含むが主流になって、エッセイを読んでも心楽しくなかったけれど、この本は優しい。 時折り脱線はあるにしても、全篇通して仄かに昭和の香りが漂う柔らかさが感じられました。第一刷は1994年で平成なんですが、作者が1944年生まれ、とあって納得。名前に何となく覚えがあって調べたら、なーんだ、1992年にこの作品で講談社エッセイ賞、翌年には別の作品で直木賞も受賞されている大作家だったワケで。競うように人が読む受賞作は避けて通るので、今まで出会う機会が無かったらしい。 良い人もいればヤな人もいて、生き難いのは平成も昭和もたいして変わりゃしないので、あの頃は良かった、なんて言う気はサラサラ無いけれど、ナニも本を読んでまでイヤな気分になることは無いからなぁ。久しぶりに暖かい気持ちで本を閉じました。 |