2006,11,29, Wednesday
奥まったこの辺迄は、物売りもあまり来ないのですが、
珍しく遅い時間になって焼き芋屋さんが回っています。 いつものコース巡回で売り切れなかったんでしょうか。 デザートには重過ぎる焼き芋では、夕飯時を過ぎての 声を聞いても買う気にはなりません。 近頃は小食で、それ以外の時間でも買いませんけど。 独特の節回しでおじさんがのんびり回って来ると、叔母たちがそわそわし出します。 うら若き乙女の二人には『焼き芋を買う』行為自体が恥ずかしい事だったようで、 買いに行かされるのはいつもオチビだった私の役目。不平タラタラで寒空の下を表に出て チラチラと燃える火の灯りを頼りに、おじさんのリヤカーを追いかけます。 呼び止めて振り返ったおじさんが、まっ黒な軍手で石の中から芋を掘り出し袋に詰める間、 夜の闇の中に燃える石を見つめながら、ちょっと神秘的な気分を味わったりして。 芋焼いてる石なんですから、神秘も何もあったモンじゃないんですけどねー。 帰りは紙袋の中のお芋が懐炉になって、身も心も暖かいんですが、今考えると物騒です。 あんな小さい子が、数十メートルとは言え一人っきりでお芋抱えて暗い住宅街歩くなんて。 のんびりした穏やかな時代だったんですね。今じゃ軽トラ、テープの声、風情も無いです。 今でも時折り耳にする焼き芋屋さんや竿竹売りの売り言葉や豆腐屋さんのラッパの音は、 余計なフレーズが増えて、子どもの頃聞いたのとは随分調子が違ってしまったようです。 小さい頃聞いた物売りの声で一番好きだったのは夏限定で近所を回る金魚屋さん。 『きんぎょ~え、きんぎょっ』の売り声のリズム、キラカラキラカラと涼しげな音を立てる風鈴。 買いもしないのに慌てて外に飛び出して、後をついて行ったり。。。<いかにも昔の子だ~。 最近とんと聞かなくなりましたが、まだどこかの地方では回っているのかな? |